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専門外来 肝胆膵外来

肝胆膵外来とは

良性疾患であるウイルス性肝炎の治療(C型肝炎に対するインターフェロン治療.現在は主にペグインターフェロンを週1回投与する方法をとっている)や、原因不明の急性肝障害などの加療も行っております。また胆石や胆管炎による急性胆嚢炎、胆管炎などに対しては積極的に腹腔鏡下胆嚢摘出術や内視鏡治療(内視鏡的乳頭括約筋切開術+砕石術)を行っております。
悪性腫瘍に対しては、肝生検による組織検査,内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)の手技を使った細胞診検査などにより精密検査を行い、手術適応があれば外科にて切除という方針としております。

また、治療に関しては、切除可能なものであれば基本的には切除としています。肝機能が悪い原発性肝がん(肝細胞癌)の場合には術中ラジオ波焼灼術を選択する場合もあります。
切除不能の肝がん(原発および転移)に対してはインターベンション治療(カテーテルを使った肝動脈塞栓術,肝動注療法)やラジオ波焼灼術(RFA),エタノール注入療法(PEIT)を行っています。
それ以外にも,膵・胆道がんによる閉塞性黄疸の治療(PTBD,ERBD),外来化学療法(抗がん剤による治療)などを行っております。

特に、大血管に伸展するような進行肝細胞癌,転移性肝がんの治療に関しては、他ではあまりされていない、でんぷんと抗がん剤を用いた一時的肝動脈化学塞栓療法という治療を行い、徳洲会病院でも良好な成績をあげつつあります。

他の病院で、「もう治療はできない」と言われ、お困りでいらっしゃる方も、一度レントゲンフィルムを持ってきていただければ治療が可能かどうかご相談させていただきます。

  • 膵がんに対するがんペプチドワクチン療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を行ないました

膵がんに対するペプチドワクチン療法について

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■基本担当表

担当医・診療時間は都合により変更する場合がございますのでご了承下さい。「★」は予約制です。
今週の担当表は、「受付時間&外来担当表」ページの「各科外来担当表」をご確認ください。

診察
内科(午後)

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医師のご紹介

脳神経外科部長 福田 直

■専門分野

内科一般 ・消化器内科 ・肝胆膵内科

■資格

日本消化器病学会指導医・専門医
日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
日本内科学会認定内科医
日本肝臓学会専門医
日本医師会認定産業医
がん治療認定医
人間ドック健診情報管理指導士
日本消化器病学会関東支部例会評議員
医学博士

■略歴

1990年広島大学医学部卒業。癌研有明病院を経て、2007年千葉徳洲会病院 副院長に着任。

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当院での、転移性肝癌、進行肝細胞癌の治療について

DSM-TACEについて

DSMとはdegradable starch microspheresの略号で,馬鈴薯から作られた微小デンプン球のことです。DSMは1985年にカナダにおいて医療器具として承認され、その後ドイツ、スペインなど諸外国で承認されました。本邦での販売名はスフェレックスで、1994年にファルマシア・アップジョン社が転移性肝がん治療における抗癌剤:マイトマイシンC (MMC)との併用を目的に“医療用具”として輸入承認を取得しました.このDSMをカテーテルで肝動脈へ注入することにより、一時的に肝臓の腫瘍への血流を遮断し、その間腫瘍内のMMCを高濃度に保つことができます。この作用を利用して、転移性肝がんや肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法の際の塞栓物質として使用されています。

この治療を担当しているのは、私、副院長の浅原新吾です。2006年12月まで、癌研有明病院消化器内科で、肝・胆道・膵癌の診療に従事してきました。最後の5年はとくに、転移性肝がん、進行肝細胞癌に対する治療を中心に行い、良好な成績を国内・外に発表してきました。

千葉徳洲会病院では、2004年から癌研有明病院と同じレジメにてDSM-TACEを行っております。

一般的には転移性肝がんに対して抗癌剤を静脈から全身投与することが多いのですが、数種類の抗癌剤を使っても効果がみられない場合、鼠径部や鎖骨下からカテーテルを肝動脈に挿入し、そこから肝臓に直接抗癌剤を注入する「肝動注療法」または抗癌剤と塞栓物質を同時に投与する「肝動脈化学塞栓療法」などが行われることがあります。
これらの治療は、肝臓のがんに対して、静脈内投与よりもはるかに高濃度の抗癌剤を直接注入できるというメリットがあります。さらに,血流の豊富な腫瘍の場合、塞栓を併用することで,抗癌剤の滞在時間を延長したり、血流を阻止したりすることで、腫瘍を縮小させることが可能となります。
実際に千葉徳洲会病院でこのDSM-TACE治療をされた方の画像を以下に提示いたします。

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DSM-TACE事例

まずは,肝細胞癌(原発性肝癌)の方です。

72歳・男性

右側腹部痛で来院されました。
4年前に大腸癌手術の既往。来院時血圧90mmHg(普段は150mmHg)。
CTで腹水貯留(↑)と門脈内に腫瘍塞栓(▽)を、また、肝内に多数の腫瘍を認めました(右図↑)。

これらの所見と、腹水試験穿刺の結果から、大腸癌肝転移の破裂による腹腔内出血と診断しましたが、大腸癌の腫瘍マーカーであるCEA、CA19-9は正常で、肝細胞癌のマーカーであるAFP、PIVKA-IIが著明に上昇していました。肝細胞癌発生の母地となる肝炎ウイルスは陰性でしたが、画像所見とあわせて肝細胞癌の破裂と診断しました。
2007.4.12に腹部血管造影を施行し、破裂していると考えられた部位から止血を兼ねて、リピオドール、ジェルパート、スフェレックスを使用した肝動脈化学塞栓術を施行し、2回目の肝動脈化学塞栓療法を2007年5月12日に施行しました。抗癌剤としてファルモルビシン、MMCを、塞栓物質としてDSMを使用しました(DSM-TACE)。

2回治療後、門脈腫瘍塞栓は軽度縮小しましたが(▽)、その周囲の腫瘍が著明に増大してしまいました(↑)。出血していた部位にはリピオドール(塞栓物質)の貯留があり,腫瘍の縮小も認め(右図↑)。治療効果は良好でした。治療後貧血の進行もとまりました。腫瘍の増大部位治療のため、抗癌剤をファルモルビシンから5FU、アイエーコールに変更し、3回目の治療(DSM-TACE)を2007年6月8日に施行しました。

この治療によりこれまで急激に増大した肝臓内の腫瘍はほぼ消失し、門脈内の腫瘍も著明に縮小しました(↑)。また出血していた部位の腫瘍サイズもさらに縮小しました。
肝細胞癌(原発性肝癌)の勢いを示す特有の腫瘍マーカーには、AFPとPIVKA-IIがあります。肝細胞癌の治療時にはこれらを治療効果の指標として月に一度測定していくのが一般的です。今回、この方はAFP、PIVKA-IIとも著明に上昇していました。初回の肝動脈化学塞栓療法でPIVKA-IIが急激に低下しましたが、2回目のDSM-TACE治療後はやや増加してしまいました(黄色矢印)。このため3回目の治療(DSM-TACE)は抗癌剤を5FU、アイエーコール(CDDP)に変更して行いました(オレンジ矢印)。これにより、それまで測定可能域を超えていたAFPが300台に低下しました。4回目、5回目の治療も3回目と同様の抗癌剤を使用しました。その後、5FUと再上昇していたPIVKA-IIは正常化し、2009年6月22日時点の腹部CTでも再発は認めず、お元気ですごしていらっしゃいます。

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次に転移性肝がんの治療を、全身化学療法(経口抗癌剤)とDSM-TACEとを併用して治療した方をご紹介いたします。

75歳・男性

2006年5月から心窩部不快感があり、当院を受診されました。上部消化管内視鏡検査で胃癌を認めました(左図↑)。またCT検査では、肝臓内に多発する転移を認めました(右図)。

2006年6月29日から経口抗癌剤TS-1を開始しましたが、3コース中に副作用と思われる皮疹が出現したため、3コース途中(計5週投与)で終了しました。これに並行して、肝動脈化学塞栓療法を2006年7月から毎月、計3回行いました。CT検査による経過観察で肝転移の著明な縮小を認めました(下図)。

TS-1の内服を中止してからもDSM-TACEは継続し、さらに肝転移の縮小がみられました。腫瘍マーカーであるCEA値も、治療の経過とともに減少を示しました(下図)。2006年10月5日に胃全摘術を施行し、その後も遺残肝転移に対して、DSM-TACEを繰り返し施行しています。この方のように、通常の経口抗癌剤治療に並行してDSM-TACEを行うことも可能です。

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最後に,肺癌手術後,肋骨転移と肝転移を伴って呼吸器科から内科へ紹介された方をご紹介します。

80歳・男性

2006年8月に肺癌(低分化型扁平上皮癌)で肺の部分切除を行い、術後化学療法を行っていましたが、2007年12月に肝転移(☆)、骨転移(↑)が出現し、生検で転移と確定診断した後に、2008年2月からTS-1投与、同時にピシバニールという免疫賦活剤の骨転移部位への局所注射を毎週行っていました。さらに2008年10月22日にドセタキセルの投与も行いましたが、腫瘍マーカーの低下は認めたものの、肝・骨転移とも増大したため、2008年11月、肝転移の治療を目的に内科を紹介されました。

初回のDSM-TACEを2008年11月29日に施行しました。最初に併用した抗癌剤は塩酸エピルビシンとMMCでした。肝転移はやや縮小したものの、思ったほどの効果がなかったため、二回目の治療は5FU、シスプラチン(CDDP)に変更して行いました。これにより、肝転移は著明に縮小し、2009年1月、2月、4月と同様の治療を施行し、ほぼ瘢痕となったため治療は終了としました。その後も2009年5月の時点で明らかな腫瘍の増大はみられていません。

肺癌の腫瘍マーカーであるCEA、CYFRA、SCCは、下の図のごとく、2009年5月11日の時点で正常値を示しています。

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60歳・女性

2010年5月、前医(千葉県内大学病院)で胆嚢癌、多発肝転移と診断され、ジェムザール+TS-1(胆嚢癌の標準化学療法)による治療を行われていました。しかし腫瘍マーカーは徐々に増加してきたため、2010年11月12日、肝局所療法目的に当院を紹介されました。

【前医での治療経過中のCT画像の推移】

上のCT画像のように肝内の転移巣(黄色矢印)は前医での治療中も2ヶ月間で明らかに増大していました。転移巣の周囲の白く淡い部分は腫瘍が生きている証拠です。初回の治療(2010.11.17)は肝機能の悪化を最小限にするため、肝右葉(右半分)のみの治療としました。右肝動脈から一種類の抗がん剤を注入した後、別の抗がん剤とでんぷん(スフェレックス)を混和したものを注入しました(DSM-TACE)。直後に嘔吐と注入部近くの痛みがありましたが、数時間後にはいずれも消失しました。

緑の矢印で示した転移巣は縮小し、転移巣辺縁の淡く白い部分もほぼなくなっています。しかし、治療していない肝左葉の転移巣(赤矢印)は増大しました。
このため2回目の治療(2010.12.18)は肝左葉巣の転移のみをターゲットとして行いました。

左上の写真が2回目治療後です。転移巣辺縁の白い部分はなくなっています。さらに3回目の治療を肝右葉、左葉両方に行いました(2011.1.22)。右上の写真は3回目治療後1ヶ月のCT画像です。転移巣は縮小しています。 肝の他の部位もみてみましょう。

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いずれの転移巣も、縮小や辺縁の白い部分が消失していたり、転移巣そのものが縮小しているのがわかります。
CT画像以外にも、腫瘍マーカーの数値にも変化がでています。

緑色のラインで示すCA19-9は初回治療後から低下し、2回目の治療で正常化、オレンジ色で示すCEAは初回治療後一旦上昇したものの、2回目、3回目の治療後は順調に低下しています(CEAは5.0ng/mlが正常上限、CA19-9は37.0Umlが正常上限です)。前医での全身化学療法時には腫瘍マーカーは一度も低下することがなかったそうです。

以上、ご覧いただきましたように、標準治療が無効であっても、DSM-TACEにより腫瘍縮小効果がみられる場合があります。

このDSM-TACEは、1回の治療にかかる時間は平均30分程度で、カテーテルを入れる部位のみ局所麻酔で行います。入院は月に一度で、入院期間も治療当日に入院し、ほとんどの場合、治療2~3日後には退院が可能です。治療直後にみぞおちに痛みや吐き気を感じたりすることが時にありますが、数時間で消失します。また、数日間37~38度の熱がでたりすることもありますが、これも自然に消失します。脱毛などはごく軽度にみられるだけです。
このように、DSM-TACEは合併症の少ない治療であり、肝臓の機能が低下している場合や、全身状態があまりすぐれない場合でも可能である場合があります。転移性肝がんでは、いくつか試した全身化学療法がすべて無効だった場合、肝細胞癌の場合には門脈に腫瘍が浸潤してしまった場合や、肺や骨に転移がでてきてしまった場合には、主治医の先生より治療を断念される場合があると思いますが、肝臓の腫瘍をコントロールできれば余命を延ばせる可能性があります。主治医の先生より「お手上げです」といわれた場合にも、一度セカンドオピニオンにいらしていただければお力になれるかもしれません。

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